存在の羽音

気ままに。自分と向き合う場所。自分を見つける場所。チラシ裏の独白。

道端

 

 ひとつの命が砕けていた。何度も出会っているだろうに、そのもの自体を認識したのはモノとなってしまってからだった。まだ新鮮で温かかった。実際には温度はわからない。触ってはいないのだから。けれど、モノになってすぐであると、ただそう感じた。そいつがその眼でどんな世界を見ていたのかは、今ではもうわからない。もう目はついていなかった。そんな姿で現れるものだから、こちらも急に悲しい気がした。今まで数あるうちの一匹に過ぎなかったのに、急に意識するようになった。今まで出会っていただろう場面を回想した。そこにそいつの姿は見えなくても、覚えてないだけで確かにその場にいただろうから。こんな出会いでも、出会わないよりはいいのかな。なあ、ミケ。